バイク屋の備忘録

SL230では初めての西日本を走る 3月

夜明けは早く、陽も長く、風は冷たさが和らぎ、バイク乗りには喜ばしい季節がめぐってきた。日々雑用に追われてチョイ乗りを楽しむことがささやかな楽しみに成りつつある、おっさんライダーにとっても寒さがやわらぐことは嬉しい限りである。

HONDAのクロスオーバーコンセプト的な発想からデュアルパーパスモデルにオンロードモデル的な使い勝手を加えて、ロングツーリングに必須の積載力を高めたツーリングパッケージで、おっさんライダーが気負うことなく自由気ままにフィールドを拡げて旅を楽しめる仕様を準備するために高速道と一般道を走りつないでSL230を走らせてみた。

積雪

SL230はトレッキングごっこで林道や獣道などを楽しんできたが、高速道を走り続けて距離と時間を稼ぐことは一度も経験したことがなかったから、どんな感じになるのか色々と試してみることにした。

県境

土曜日の夕方7時半過ぎから山口県岩国までの約500Kmを走り、翌日は周南から田布施の田んぼを眺め岡山県から鳥取県へと瀬戸内から日本海へ抜けるルートを走り、SL230をツーリング仕様としてどのように仕上げるのが最適か、バイク乗りとしての実体験に基づいて自らが心地よく走り続けるための旅仕様を思い描きながら西日本を自由気ままに楽しんできた。

交互通行

旧くなった車両の代替を促すこともバイク屋の仕事ではあるが、コンピュータ制御が主流となるのは時代の流れでやむを得ない事だが、SL230など機械式の良さがある旧きよき時代のバイクを心置きなく楽しめるようコンディションを整えることや、自らの実体験に基づいて納得が出来る提案やアドバイスもバイク屋の大切な仕事であると考えている今日この頃である。

SL230やXR230の車格がお気に入り

250クラスのデュアルパーパスCRF250ラリーが発売となったが、昨今のホンダのデュアルパーパスはCRF1000アフリカツインやCRF250ラリーなどフルサイズモデルで存在感を誇示する事が流行のようだが、誰のために造られて、日本のどんなところを走れば本来の良さを楽しめるのだろうか・・・・・。

また、ヤマハにはセロー250があるが、ホンダにはSL230などダウンサイジングされた車格のデュアルパーパスが存在しなくなったのは何故だろうか・・・残念に思う。

おっさんライダーが自由気ままに楽しむフィールドではフルサイズの車格は扱いきれないから、一般道から気負うことなくポコポコと獣道へ入り込んでも楽しめるSL230やXR230等ダウンサイジングされた扱いきれる車格と使いこなせる排気量は、おっさんライダーの旅には最適であると実感している。

SL230

旧くなった初期型のSL230だが、機械式の操作感のよさと軽量コンパクトな車格ならではの多用性は、カブ110NWJCコンプリートにも似た面白さがある。おっさんライダーのバイクライフは緩やかな放物線を描いているが、緩やかに昇った時代と緩やかに降る時代の双方でSL230を楽しめて益々面白みが増している。

SL230を欲張りなおっさん仕様へ

普段使いからオン・オフ問わず道を選ぶこともなく、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる「欲張りなおっさん仕様」を具体化するために、SL230では初めての西日本へツーリングにでかけて、不具合や問題点などをチェックしながら今回のツーリングも楽しんできた。

トラクター

デュアルパーパスモデルのSL230は、高速道ではロードモデルのような安定感が無いから延々と走り続けたいとは思わないが、時間と距離を稼ぎ出せる高速道を気負うことなく一気に目的地まで走れるよう足回りのセッティングを変更して走ることにした。

旧くなった初期型のSL230は40,000Kmを超えているが、メンテナンスによりエンジンから足回りまでベストコンディションを維持している。岩国までの約500Kmは高速道を走るため空冷シングル230には無理をさせず淡々と走り2回のガス補給で一気に走るつもりだったが・・、夜間のためか寒さが身に凍みる おっさんライダーは休憩を繰り返し意外に時間が掛ってしまった。

深夜の高速道路

数年前の2月は、村田さんたちとカブ110NWJCコンプリートを駆って夜間の木曽路を走った。温度表示は-3度前後で路面凍結の表示がいたるところで光っていたが、カブ110NWJCコンプリーでは寒さも苦にならず走り続けたあの日のことを思い出し、スクリーン・グリップヒーター・レッグシールドなどカブ110NWJCコンプリートとSL230の装備の違いを実感した次第である。

昨年の11月は、今回と同様VTRで一気に山口まで高速道を走ったが、スクリーンの防風効果を実感した。この季節も含みロングツーリングを楽しみたいと思う おっさんライダーの必需品としてSL230専用のスクリーンを早急に準備したいと痛切に思った次第である。

トレッキングごっこや林道ツーリングを共に楽しんできた、SL230のNomu君、御大のOji やXR230の村田さんとKさんは、ダウンサイジングによる多用性を活かした欲張りなおっさん仕様への進捗状況をチェックしながら、一般道から獣道までを楽しめるよう各部のメンテナンスやモディファイを行い、同じSL230とは思えないその違いをチョイ乗りやツーリングで実感して、其々が新たな楽しみ方を得るヒントになっている。

トライアンフ空冷スラクストンを駆って北海道や東北などをキャンプツーリングで共に楽しんだ いつものメンバーの里見君もSL230のトレッキング仕様を長年楽しんできたが、SL230欲張りなおっさん仕様に触発されて足回りからエンジンに至るまで各部のメンテナンスとモディファイを施し、その後SL230は新たな楽しみ方を提案することとなったようである。

トップケースの装着も可能で普段使いからフル積載まで多用性のあるツーリングキャリアの催促が日増しに高まり、準備ができ次第少しの間休業して駆け足で日本一周に出かけるとのこと。

→里見君のブログ『徒然日記』のSL230NWJCツーリングパッケージでの日本一周記事

SLツーリングパッケージ

それぞれのSL230・XR230ツーリングパッケージ仕様が出来上がったら、カブ110NWJCコンプリートにも似た気負うことの無い心地よい走りで、いつものメンバーと共にキャンプやロングツーリングを楽しみたいと思う。

フラフラのんびりと一般道から獣道まで速さよりも心地良さで走り続けて楽しめる「欲張りなおっさん仕様」は、旅には必須の積載力を高めても安定感のある走りで楽しめる仕様を試行錯誤しているから予定よりも少し遅れ気味だが着実に形になりつつあるから、近日中にフル積載で再び西日本へツーリングに出かける予定である。

お気に入りの西日本を楽しむ

夜間の高速を走った翌日は、早朝から上関の河津桜を眺めてお気に入りの景色の中を走る予定でいたが、朝寝坊のため観光地と化して渋滞が予想される上関の桜はあきらめて、周南から田布施方面のいつ観ても綺麗な田園風景の中を走ることにした。

田園風景

走り続けて感じたことだが、本来オフロードも楽しめるように作られたSL230のシートは座り続けることが前提ではないからか、シートのすわり心地はカブ110NWJCコンプリート エクスプレス仕様のほうが格段に快適である。ロングツーリングも心地良く楽しめるようシートの改良が必要であることを実感。

XL200系のエンジンは2バルブ特有の低速域からの粘りも健在だから高回転で回すよりも低回転を使って5、6速で流すと、大型トラックの後ろを走り続けても空冷シングル2バルブ特有の鼓動感でストレスも無く、速さよりも心地良さで走り続けることを楽しめる。しかし、エンジンコンディションの悪い車輛では空冷シングル2バルブ特有の心地良い走りは楽しめないだろう。

通行止め

県道を抜けてR9号へ出るつもりでいたが、積雪のため通行止めだったから引き返して別の県道を抜けた。ワインディングも軽量コンパクトな車体とセッティングを変更した足回りの相乗効果で軽快な走りを楽しむことが出来たから、次回はキャンプ道具などフル積載のツーリングパッケージで走らせて見たいと思う。

棚田の雪解けは面白い模様となっていた。わき道からUターンするように狭い急勾配を登って景色を眺めたが、軽量コンパクトなSL230ならではの使い勝手の良さを実感。勿論カブ110NWJCコンプリートでも同様に急勾配を登って景色を眺めていただろう。

棚田2

その季節、その時に捉えた景色はまさに一期一会に想う。気ままにわき道へ入り込んだり止まって景色を眺めたり出来るのは、軽量コンパクトな車格であればこその良さであるが、ビッグバイクでは減速するのがせいぜいで、横目で眺めながら素通りするのが常である。

棚田

気負うことも無く、道を選ぶことも無く、自由気ままに走れるSL230のダウンサイジングされた車格は、カブ110NWJCコンプリートと同様で、おっさんライダーの旅には使い勝手が良く最適であると実感している。

お気に入りのバイクを何時までも楽しむために

エンジンコンディションをはじめ足回りブレーキなどのメンテナンスは当然のことだが、トレッキングごっこで使っていたSL230は、ステップのラバーマウントを廃してアルミのカラーに変更しているからスタンディング時の操作性はダイレクトで一体感もあるが、スタンダードのSL230はマウントラバーの劣化もありステップが八の字に垂れ下がっているから、SLとの一体感を楽しむためにはマウントラバーの交換などが必要である。

ステップ

SL・XR230のエンジンはオイルフィルターが装備されていないから、クラッチカバーを開けて遠心フィルターの中を掃除することも必要な作業である。

旧くなったSL・XR230やトライアンフ空冷モダンクラシックなど、其々がお気に入りのバイクを何時までも心置きなく楽しむためには、それなりのメンテナンスが必要であることをお伝えする次第である。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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