GoldWingで再び山陰を走る
10月初めにNC700Xを走らせて訪ねたラッキョウ畑は、小さな紫のつぼみで花が咲く前だった。農家の方に今年は何時頃から咲くのか尋ねると、あと1週間くらいで咲き始めて11月まで見られるとのこと。
18日は、田布施にある五十猛神社の例祭に参列する予定をしていたので、そのついでに花が咲いている広大なラッキョウ畑の風景も見たいと思い、GoldWingを駆って再び山陰を訪ねることにした。
17日の早朝から村田さんとGoldWing2台で、羽島ICから敦賀経由で八鹿氷ノ山ICまで一気に走り、そこからR9号で鳥取を目指した。
暫らく乗っていないGoldWingは、高速道をハイペースで走らせると、エンジンは全域で力強く滑らかになり、足回りもしなやかに路面を捕え始めて、GoldWing本来の軽快な走りが目覚めてくる。
R9号を走る頃すっかり眠りから覚めたGoldWingは、オッサンライダーに同調するかのように、大きな車体も一回り小さく感じられるほど扱いやすさが増して、ゆっくりとした流れでも抜群の安定感で悠々と走っていく。
10月初めにNC700Xで通った時、R9号の春来トンネルは工事中で片側通行のため、待ち時間が長かったことを思い出し、九十九折れの続く春来峠を越えることにした。
九十九折れの峠でも軽快に
春来峠では勾配がキツイ九十九折れでも、2台のGoldWingは連結されたように一定の車間を保って、滑らかにしなやかに九十九折れを切り返して駆け上って行く。下りも軽快に駆け下りて、ベストコンディションに整えられたGoldWing本来の心地よい走りを村田さんと楽しんだ。
GoldWingは、狭く勾配のキツイ九十九折れの続く峠を走り続けるのは得意ではないと思われがちだが、決してそうではない。
しかし、メーカー出荷状態に近いまま、オイルなど消耗品の交換程度で乗り続けているGoldWingでは、残念ながら低速のタイトコーナーになると安定感がなく、車体が倒れ込む傾向が強くなる。
ついつい半クラッチで対応するような走りになることもあるが、コンディションの整ったGoldWingであれば、低速でもバンク角は意のままで、車重はまったく気にすることも無く、安定感のある悠々とした走りが楽しめる。
バイク屋のバイク乗りとして、コンディションを整えていく過程を体験することは、NWJC独自のメンテナンス ノウハウが蓄積されることとなる。NorthWingJCから販売する車両は、実体験に基づくNWJC独自のメンテナンスを提供して、バイクライフを満喫して頂くことがバイク屋NorthWingJCとして大切なコトだと常々考えている。
旧車の走りを見て楽しむ
村岡地区辺りから鳥取の手前までの山陰道は、あぜ道も綺麗に刈りこまれていて、セイタカアワダチソウを見ることも無く、いつ出掛けても長閑な田園風景の中を心地良く走れるからお気に入りのルートである。
鳥取へ入る手前で、綺麗にフルレストアされたメグロSGが前を走っていた。少し車間をとって旧車の走りを見学させていただくことにした。登り坂ではシフトダウンをしてフルスロットルで回転をあげている、エンジンも快調そうだ。
荒れた路面では、乗り手とバイクの一体感が見て取れるほど、バタつく足回りを乗り手が上手く往なして、バイクを楽しむってこうでなくっちゃ、と背中で語りかけペースダウンをすることも無く人車一体の走りを楽しまれていた。
メグロSGを見るうちに、お気に入りだがお蔵入りしている’68CB450に無性に乗りたくなってきた。
脇道をGoldWingで楽しむ
交通量の多いメインルートを少し外して脇道へ入ると、長閑な田園風景が拡がっていたり、綺麗な海岸線であったり、走り慣れた道でも新たな風景に出合うことがある。
大型で車重がある車両では躊躇してしまう脇道もあるが、GoldWingは巨大な車体に似合わずハンドルポジションは低く近いから抑えも効き、シートポジションも驚くほど足つきが良いから、無理をして乗りこなすよりも巧く使いこなせば、思わぬ道に出くわしてもすんなりと抜けることができる意外な面を持っている。
鳥取砂丘の近くで、ラッキョウの花が一面に咲く風景を見てから、R9号を西へ向かい、山陰道の無料区間が始まる交差点を右折して一般道を進むと交通量が少なくなる。
GoldWingは5速オーバードライブ2000回転以下で、のんびりと海を眺めながら走る。
北条バイパスの途中から畑の中を通る道を走った後、北条砂丘が続く海岸線を見る為に向かった先は、能登の千里浜のようにしまった砂地ではないから、もっと軽い車両ならまだしもGoldWingで入ってくるような所ではないように思われるところである。
僅かな距離だがフカフカの砂地をスタックも転倒もしないように、トレッキングごっこの要領でソロソロ進む、後ろに続く村田さんの力量も分っているから何ら心配することも無く、2台のGoldWingは海岸沿いに出た。ここは一人で立ち寄るポイントだから村田さんと来るのは初めて。
その後、大山の麓の農道を走り、麓へ向かって川のように田んぼが続くお気に入りのポイントを高架の上から見に行く事にした。村田さんとは、100RSやスクランブラー・ボンネビル等に乗って、このポイントは何度も訪ねている。一番上のため池の周りにアヤメか菖蒲か何だかよく分らないが、紫色の綺麗な花がたくさん咲いているころにも一緒に来たことがある。
一人でツーリングを楽しむ時は、目的地までナビを頼りに走るよりも、地図で大雑把に方向を決めて色んな道を走ることを楽しんでいる。季節が変わると、もう一度走りたいと思う風景に出合うこともツーリングの楽しみだと思う。
大雑把に第一の目的地を決めて、そのあとは自由に気の向くままに走り続けて最終目的地にたどり着くのが、村田さんとツーリングを楽しむ時のスタイルである。
今日の最終目的地は三次だから、このまま海沿いを走って西へ向かうか、中国山地に沿って西へ向かうか、どちらも明日中に帰りつければ良いところは一致している。
神話の伝承地を訪ねる
国生み神話でイザナミノミコトを葬ったとされる地が、安来市の比婆山の山頂と熊野の花の窟神社にあるが、三次へ向かう途中で立ち寄ることが出来る比婆山の麓にある、久米神社下の宮を訪ねてから三次へ向かうことにした。
国生み神話のイザナミノミコトを葬ったとされる地は、日本書記は花の窟神社で、古事記では比婆山となっている。花の窟神社にはカグツチノミコトも祀られているし、東出雲には黄泉平坂があり、どちらもイザナキノミコトに関わりがあるが・・・・・・・・・・。道すがら想像力を膨らませて、神話の地を訪ね歩くのは楽しいものだ。
岐阜へ向かう
この季節三次の朝は深い霧に包まれているから、少しゆっくりと出発することにした。11時からの例祭に参列して、宝塚あたりの渋滞が解消されるのに合わせて、夕方から岐阜を目指して走り始めた。
高速道では後ろに続くGoldWingをミラー越しに見ると、オレンジのポジションランプとヘッドライト、フォグランプで存在感がある。視認性の高さは、トラックなどの急な割り込みを避けるためにも有効だから安心感がある。
熊毛IC手前でガソリンを満タンにして龍野西SAまでノンストップで走り、小休止の後再びガソリンを入れて岐阜までノンストップで走る。三次から田布施まで約150km田布施から岐阜まで約570km、今日は約700kmを走り、村田さんとは一つ手前の大垣ICで分れて、日付が変わる前に無事に羽島ICへ到着。
久々に乗るGoldWingは、ベストコンディションだからこそ、100km 200kmと距離が延びるごとに、一体感が深まって、一般道から高速まで走り続ける楽しさを満喫する事が出来た。
後日、村田さんが来店されて、GoldWingが今までよりも身近に感じられて楽しかった、とご満悦だったのは何よりである。