CB1100 2台でキャンプ
4月は、雨や雪も降り週末から天気が崩れることが多く、春恒例の桜を観ながらのんびりツーリングに出掛けるタイミングを逃したことは残念である。
山梨の哲也から、キャンプツーリングを始めたいからどこかキャンプに連れて行けと3月から依頼されていたが、天候が悪く4月下旬になってやっと実現した。
何故、今頃になってキャンプツーリングなのか聞いてみると、今年の北海道は知人とキャンプツーリングを予定しているから、予行演習を兼ねてのキャンプツーリングで色々アドバイスなどがほしいとのことだった。しかし、長年キャンプツーリングは楽しんでいるがド素人だからアドバイスなど・・・。
駒ヶ根IC近くで昼食をとり、駒ヶ根市街を出たあたりで買い出しの予定だったが途中に店は無く、暫らく走ると九十九折れの峠道が続き、買い出しをしないままキャンプ場に到着。
テントの設営後に買い出しに麓まで下り戻ってから簡単に夕食を済ませて、キャンプの装備やパッキングについて雑談をしながら、眼下に見える夜景を眺めてのんびりとした時間を過ごした。
365日宴会男だった哲也は、最近は体調を気遣ってアルコール抜きで、早めに床に就き夜明けとともに起床する健康生活を維持しているようだから早めに寝袋に潜り込む事にした。
翌朝は朝焼けを眺め、中央アルプスが明るく見え始めるまでブラブラと附近を散策したのち、簡単に朝食を済ませ撤収に取り掛かった。
荷物を積み込んでいると、哲也がサイドスタンドのところで何かやっている。キャンプ地など足場が悪い所でもサイドスタンドがめり込まないよう、仕事の合間にサイドスタンドホルダーを造り、バイク屋のバイクに哲也のオリジナルパーツを取り付けていた。
7月は北海道へキャンプツーリングに出掛ける予定だから、6月にはメンテナンスを兼ねて遊びに来るとのことで、サイドスタンドホルダーの装着後に麓まで下りそれぞれの帰路に就いた。
買い出しは林道を通って
テントを設営して買い出しに行く事にしたが、僅かな距離だが少し回り道をして林道を通って行くことにした。お互いに林道ツーリングは充分に楽しんできたので、ユックリなら何も問題はない。哲也は20年ぶりの林道をCB1100で抜けるから少し緊張したようだったが楽しそう。
全域フラットトルクで扱いやすいエンジン特性とコンパクトサイズのCB1100は、二台ともフロントサスやエンジンなど全く同じ仕様でメンテナンス内容も同じである。タイヤも同じメッツラーに変更していることも大きく影響しているのか、以前ダートを通った時よりも安定感があり、何ら気負うことも無く普通に通過する事が出来た。
フロントサスのスプリングを変更している以外は、メンテナンスにより基本性能を巧く引き出したCB1100だから、アクセルを丁寧に開けると実に滑らかにスルスルと進んでいく。それは、林道でも同じ感じでスリップする感じも無く、前後共に接地感があり安定感もある。CB1100はもともとコンパクトではあるが、車体の重さがまったく気にならないのはタイヤの影響か、乗り味が大きく変わりチョット驚き。
舗装路の九十九折れなどで半クラッチを当てるようなエンジンコンディションの悪い車両の場合、今回のように未舗装路を気負うことなく走る事は難しいし、そんな道は避けたいと思うだろう。
ライテクでカバーできる凄腕ライダーは別として、我々のようなオッサンのヘボライダーにとって車両のコンディションを整えることが、道を選ぶことなく安全に楽しめる最善の方法であると改めて実感した次第である。
CB1100はフッションバイクかツーリングバイクか
一般的には、カテゴリーに縛られて何かに特化していることが高性能であると思われているようだが、特化したところに拘ると使いかたは限られたものになる。が、CB1100やボンネビルのようにクラシックスタイルのバイクは、デザインに特化しているのかもしれないが、走りに拘ったスペックなどに囚われない良さがある。
コンディションを整えてCB1100本来の良さが発揮されれば、余分なものをすべて省いた昔ながらのスタイルはファッションバイクと思われがちだが、ツーリングバイクとしての大らかさは道を選ぶことなく、速さより心地良さで走り続ける楽しさを実感できるだろう。
日本の道をツーリングで自由自在に楽しむには、可も不可も無い曖昧さが高性能であることに気づけば、スペックやカテゴリー、ブランドなどに囚われることなく、バイクライフも素適なものになって行くだろう。
NWJCが提唱する「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」は、良い意味での曖昧さが必要である。
四月の清内路
帰りのルートは、スタッフの明君と三月末にボンネとNewタイガーでツーリングに出掛けた清内路を走る事にした。
前回、赤味を帯びていた山々は、若葉が芽を吹き山桜が彩りを添え、道沿いは花桃が咲き乱れていた。二月はカブ、三月はボンネ、四月はCB1100、と同じ清内路を走っても全く趣が違い、バイクならではの日本の春、四季を楽しみながらのツーリングは心地好く感謝感激である。
外気温度によりタイヤの接地感が変わり、サスもしなやかさを増して、バイクも春の訪れを悦んでいるようで、季節によりバイクの乗り味にも変化が顕れる。二月には凍結路面を恐る恐る走らせたカブ110NWJCコンプリートにも、春爛漫で気持ち良く走れる清内路を走らせたいと思う。
ことしは、しだれ桜や山桜をお気に入りポイントから、のんびりと楽しむタイミングを逃してしまったことを残念に思って居たが、九十九折れの峠を切り返して登っているとき、この近くの谷間にしだれ桜がある事をフッと思い出した。急な坂道を下ると、しだれ桜が咲いていた。
毎年のことだが、季節ごとの見慣れたお気に入りの風景を見逃すと、来年は・・・と思うのだが、天候のことも有り中々思い通りにならないことが多い。今回の様にフッと思い出して立ち寄ると、思い描いた通りの風景がそこにあれば、渇きが潤うように思うのである。
心地よく走り続けることの出来るコンディションの整ったバイクがあれば、僅かな距離のいつもの道、見慣れた景色、もう一度訪ねたい風景など、走りたくなるところが次々と浮かんで楽しいものだ。