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青森県 T・Oさん / ボンネビル800 / 31,181Km

青森在住のT・Oさんからエンジンコンディションはじめボンネビル800について色々と問い合わせがありました。ある程度のメンテナンスはご自身でも行われてバイクライフを楽しまれているご様子でした。

仕事に追われて時間に余裕が無く、秋田から敦賀港までフェリーを使い、こちらへ朝一番で向かい、メンテナンス終了後には新潟港まで高速を使い、秋田までフェリーに乗り青森へ戻るという、かなりハードな予定で来店したいとのことでした。

実車を診ていないことと、時間に余裕がありませんから出来る範囲であればということで、こちらも予定を調整してメンテナンスの依頼を引き受けました。

お客様の要望

低速域では2速3速を使わないと力が無く、頻繁にシフトを繰り返すわずらわしさがあり、全体に重い感じがする症状を改善したい。

フロントサスのバタつきを緩和するためにWPフロントスプリングの組み込みと同時にフォークシールの交換と、エンジンオイルの交換もしたい。

診断&メンテナンス

ボンネなどモダンクラシックシリーズでよく目にする、定番のボルトオンパーツが組み込まれています。マフラー交換や2次エアーをカットすれば多少の変化はあるようですが、ボンネビル本来の良さを存分に発揮している車両は希です。

まずバルブクリアランスからチェックしてみることにしました。


限られた時間でのメンテナンスですからタンクを外してエンジンを冷却中、定温になったところでクリアランス測定をはじめます。

測定値は以下の通りです。インレット側一つのみが許容範囲最大で、他は最大値から大きく外れた状態でした。この状態では低速域は使い辛く、渋滞などでは半クラッチとシフトチェンジを頻繁に繰り返しながら走ることになりますから渋滞や九十九折れの峠では疲れて面白さも半減します。

バルブクリアランス
  IN EX
基準値 0.15~0.20 0.25~0.30
測定値 No.1 0.24  0.24 0.32  0.33
No.2 0.25  0.20 0.37  0.36


バルブクリアランス測定中

タペットシムの交換を行い、バルブクリアランスを基準値に合わせて、エンジンオイルもEPL TTオイルに交換して、キャブレターの同調を取り直してエンジンの作業は終了。キャブレターのセッテイングはダイノジェットが組み込まれていますので、ご自身で色々と試して見たいとのこと。


タペットシム交換中、カムホルダーにはうっすらとスラッジが付き始めている

続いてサスペンションの交換とフォークシールの交換を終えてフロントサス周りの作業が終わり、総ての作業が終了。

メンテナンス終了後は、かなり雨が降っていましたが、T・Oさんは新潟港を目指して出発されました。

東北は冬が長く、バイクシーズンは僅か数か月ですから、より良いコンディションでバイクライフをエンジョイして頂ければ幸いです。

お客様のインプレ

昨日は、ありがとうございました。時間の限られる中、慌ただしく作業させてしまって、申し訳ありませんでした。
無事、新潟へ22:00着、自宅へ今日の08:30頃到着しました。

荷物のカバ-止め用のバンド非常に助かりました。さすがに経験が深いなと感心致しました。

さて、ほとんどが高速走行でしたが、秋田からの一般走行も含めた状況を連絡しておきたいと思います。

エンジンは一言でいうならとてもスムーズで感動です。

普段高速でも100Km以上は、エンジンが騒がしくなるし、排気音もうるさくなるのであまり使わなかったのですが昨日は、つい気付くと1○○km?も出て、オットットという感じで(先を急いでたせいもありますが)

それにしても、とてもスムーズに静かに回るので知らず知らずのうちにスピードが上がってしまってました。
雨で、タイヤの状態も気になっていたのでそれ以上はおさえて走行しましたが。

それと、排気音が「太く」湿った感じで、エンジン音が静かなぶん心地良い排気音を聞きながらの走行でした(騒がしくない!)

ただ、80Kmあたりからの加速の際、一瞬「こもる」というか、いきつきまでは行きませんが、一呼吸遅れた後、加速するような感じで、ちょっとガスが濃いのでしょうか
マフラーの音でも濃いように感じるのですが・・・?

今後、晴れた日にも、少し様子を見ながら、ニードルの段を一段薄目にしたりしてみようかと思ってます

秋田からの一般道での3000rpm辺りでの走行はこれも静かでスムーズでトルクもあり、特に朝の渋滞では(田舎の渋滞は大したものではありませんが・・・)4・5速だけで調整でき、2・3速を使って流れにギクシャクしてた煩わしさが無くなり感激です。

今までも結構乗りやすかったのですがそれ以上にスムーズで、小さいバイクに乗っているように、扱いやすい感じがします。上から下まで全体のパワーバンドがとても広くなったように感じました。

さて、フロントサスですが、高速では橋などの継目では結構ガツンが変わらないように感じましたが、まだなじんでないのでしょう。

それ以外は路面がフラットなのでよく分かりませんでしたけどレーン移動の際、轍の雨水を越える動作もハンドルが降られることなく不安な状況はありませんでした。

秋田から一般道を走った際は、舗装の縦割れや荒れた路面をこれもまた、まったくハンドルを取られることなく、肩から力を抜いても安心してまっすぐ走ってくれるのはびっくりでした。

サスが上下に動いてしっかりと働いているのが感じる(今まではそう思ったことは無かった)ので、反面リヤの柔らかさが初めて分かったように思います。柔らかいというかフロントに比べて働いていないように感じる)これも、今後いろいろと調整してみて、前後の働きが同じように感じ取れる状態にしてみたいと思います。

以上、帰りの印象を書いてみましたが、まずは、無事帰ってこれて一安心です。

メンテナンスMEMO

エンジンコンディションにおいてバルブクリアランスを調整することは、残念ながら一般的ではないようです。

効果は期待できないと云われる場合が大半のようですが、基本中の基本です。実体験と疑似体験の違いなのでしょうか、違いは誰でも体感できるのですが・・・・・。

バルブクリアランスが基準値から外れた状態では、ボルトオンパーツの効果は多少あるとは思いますが、ボンネ本来の良さを楽しむ事は出来ません。キャブレターに組み込まれたダイノジェットも性能をフルに発揮することは期待できません。エンジンコンディションを整えて、キャブレターも油面が正常である上でのジェット類の交換となります。

エンジンコンディションが悪くバルブクリアランスが最大値を超えている場合、ガソリンの供給量が少なくなりますから、熱ダレなどの症状が出やすく、いくら高性能オイルを使ってもエンジンを冷却する効果は期待出来ません。そのため熱ダレによるスラッジの発生やクラッチが滑るなどの症状が顕著になる場合もあります。

新旧問わず、乗れば乗る程に愛着の湧いてくる、素適なバイクライフのために、より良いコンディションを提供できればと思います。

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