バイク屋の備忘録

スクランブラーでバイク三昧 四月

能登の春を訪ねて

三月は、いつものメンバー主催のツーリングに、2014仕様に深化した2005年式のボンネビルT100を駆って敦賀の先まで出かけたが、日々雑用に追われて、時間切れとなり引き返してきた。のんびりとツーリングに出掛けることができなかったが、今月初めは能登へ、お気に入りの1台であるスクランブラーで出かけた。

長距離ツーリングで、時間と距離を稼ぎだすために高速を利用した場合、少し防風効果のあるスクリーンをスクランブラー用に企画している。それの実走チェックをすることも兼ねて、午後より出掛けた。

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スクランブラー用に試作したステーに、試作したスクリーンを取り付けて、スクリーンの取り付け位置などを変更しながら数パターンのチェックができた。いつものメンバーにも依頼して、数パターンのチェックを同時進行で行っているから、あと少しで出来上がる予定だ。

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能登も晴れていれば、東は立山連峰、西は千里浜あたりの夕日を眺めることが出来るのでは、と思いながら五箇山まで東海北陸道を走った。

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郡上八幡を過ぎた荘川あたりからは、すこし冷えてきて、高速道の脇には雪が残っていた。五箇山からは、いつもの定番ルートで、お気に入りの風景を眺めながら心地よい走りを満喫できた。

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2007年式のスクランブラーはNWJC2014仕様に深化

トライアンフ クラシックシリーズとの関わりは、2001年に復刻したボンネビルから乗り始めて、14年目を迎えた。

スクランブラーやボンネビルを一人のバイク乗りとして楽しみ、「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」をテーマに、違和感に思えるところを見つけ出しては、深化させてきた。

バイク屋として心地良い走りを提供する為に、通販サイトから選び出したボルトオンパーツの取り付けとは一味違う、ライダーの目線とメカニックの感性を融合した、NWJC独自の観点から試行錯誤を繰り返して、多くのノウハウを蓄積することが出来た。

その結果、乗り始めて8年目を迎えたスクランブラーも、走りだけに特化することなく、トータルバランスの高い、2014仕様へと深化して、いつまでも走り続けて居たくなるような心地よい走りを得ることが出来た。

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メーカー出荷状態の新しいバイクを手にすれば、暫らくは頻繁に乗って出掛ける事も楽しいと思えるが、新しいものを手にした感動や満足感は、時間に反比例して薄れていく場合が多いように思う。また、違和感もあるが、「こんなものです」と言われれば、期待外れだったと思い、満足感は増々薄れてしまうだろう。

その傾向は、コンディションが整っていない総てのバイクに云えることである。雑誌などで疑似体験をして、期待に胸を膨らませて購入しては見たが、コンディションが整っていないままに、ボルトオンパーツを装着しても心地よい走りを得ることが出来ず、違和感だけが残り、期待外れと思い込んでしまうようだ。

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巧く乗れる様になるために、ライディングスクールへ通ってみても、コンディションの整っていないバイクでは、いくら練習を重ねても心地よい走りを楽しむ事は出来ない。ライテク等をDVDや雑誌を見て、更に良い走りをイメージしながら走らせてみても結果は同じこととなる。

コンディションが整っていれば、ライディングスクールでもライテクの練習でも、効果を実感できるのだが・・・。

その結果、走行距離の少ないバイクが、中古車市場に多く出回っているように思う。物販を主体とした、台数至上主義の商業ベースで考えれば代替えが促進されて喜ばしい限りだと思うが、愛着を持って永く楽しむことを提案しているバイク屋NWJCは、そのような商業ベースには賛同できない。

スクランブラーを楽しむには、ライダーの感性が求められる

永年バイクに乗り続けているベテラン達は、移動を快適にすることが目的であるかのように、四輪感覚に近づく進化を続けるバイクをみて、違和感を覚えているようだ。

ライダーが有り余るハイパワーをコントロールできなくても、バイクがかってに取り仕切って処理してくれたり、サスペンションはボタン一つでバイク任せに設定がされる。それを良しとして、乗れていると勘違いが出来てしまう、最新モデルのような装備をスクランブラー達は、何一つ装備していない。

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スタイルも乗り味も少し古めかしい、スクランブラーやボンネビルなどのクラシックシリーズは、ライダーとバイクのコミュニケーションによる一体感があってこそ、心地良く走り続ける面白さがある。そこが、魅力の一つでもある。

能登の春

能登の手前の城端や福光は、水田に屋敷林が映り込む風景が多くみられる。山々にはまだ残雪はあるが、トラクターが動き出して春めいていた。少し高台に上がって眺める屋敷林のある風景は、私のお気に入りである。

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田んぼに水が入る頃には、タンデムでノンビリと走ってもストレスを感じないシンプルなR100RTを駆って、ツーリングをするのが恒例となっている。今年は、山陰方面にあるお気に入りの水田風景も訪ねてみたい。

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正月に凍結や圧雪した路面をカブ110NWJCコンプリートに乗って能登を訪ねたが、あれから三か月が過ぎて能登も春めいて来た。山々が赤みを帯びて、田畑を耕し始める耕運機やトラクターが動き始め、村の氏神様に春祭りのノボリが立ち並んで、春の訪れと心地良いバイクシーズンの到来を実感する。

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小さな耕運機が畑を耕し、大きなトラクターは田を掘り起こし、水を貯めはじめている田んぼの中にもトラクターがいた。梅はまだつぼみも残り満開にはなっていなかったが、あぜ道にはツクシも生えていた。

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立山連峰を遠望できるポイントからは、少しかすんでいたが真っ白い山々を眺め、日本海側にみえる夕日も綺麗だった。高速道を走りながら、想い描いたとおりの風景を見ることが出来て満足。

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途中で見かけた桜並木はまだつぼみで、花は全く咲いていなかった。そんな風景を眺めながら、ゆるやかに、スクランブラーの鼓動感を楽しみながら、心地良い走りを楽しむ事が出来た。

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道すがら出合ったバイクは、平日ということもあり数台だった。千枚田附近では、荷物をタップリと積み込んでロングツーリングを楽しんでいるW800と、狼煙では三叉路を低速でゆったりと曲がってくる、永年乗り続けてきた感のある、GL1500でツーリングを楽しんでいる人を見かけた。

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狼煙を過ぎて、須須神社へ参拝した。御祭神の一柱である美穂須須見命の御神名は、この珠洲の地名にゆかりがあるようだ。また、出雲国風土記に出てくる出雲長浜神社の御祭神である八束水臣津野命が、珠洲(高志の都都の三崎)より引き寄せた地を島根半島の先につなぎ合わせたという、国引き神話ゆかりの地でもある。

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これから暖かくなってくるとツーリングを楽しむ人も増えてくると思うが、愛着のあるバイクと共に永く、心地良い走りを楽しむために、コンディションを整えることをお勧めする。そして、今シーズンも大いにバイクライフを楽しんで頂きたいと思う次第である。

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