バイク屋の備忘録

カブ110NWJCコンプリート で能登へ

GWが好天に恵まれるのは何年ぶりの事だろうか、先週に引き続き今週もカブ110プロを駆って能登へキャンプツーリングに出かけた。能登は、新しい機種が出る度に国道・県道をメインにナラシやメンテナンス後のチェックなどを兼ねてツーリングに出掛けるには最適な距離であり、お気に入りの風景も数多く、道も変化に富み歴史や文化も魅力的だ。

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岐阜から360Km先にあるキャンプ場を目指して、キャンプ道具その他諸々を満載した状態で、カブ110NWJCコンプリートは、『本当に心地好く走り続けることが出来るのか?』というテーマで今回のツーリングは計画された。

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積載時の安定感をチェック!

前回のキャンプと同じ顔ぶれだが、彼らは全員ビッグバイクも楽しんでいて、排気量やスペックなどに拘ることなくバイクライフを満喫しているが、今回は少し違う観点でこのキャンプツーリングに参加している。

其々にスーパーカブ110・ウェーブ125i・ドリーム125など長年乗り続けてきたが、以前使っていた其々の車両は積載に於いて積載量が増えると安定感が無くなり、面白みに欠けるなど不満もあったようだ。

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積載に於いては、アルミパニアケースを装着して重心を低くしてよじれ対策など安定感のある走りを求めて様々な仕様を試してきただけに、カブ110NWJCコンプリートをチェックする目は厳しいものがある。

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NWJCコンプリートは何故14インチの110プロベースなのか?

NWJCが、14インチのカブ110プロをベースとしたコンプリートを企画したのは、小型ツアラーとして積載を重視すると、14インチのカブ110プロは17インチのカブ110やドリーム125、CT110に比べて積載時の安定感に大きな違いがあり、積載量に比例して走り続ける楽しさが失せる事をライダーとして体験したからである。

亦、積載力と積載時の安定性を高めた旧郵政省ご用達モデルのMD90には14インチリムが採用されていたし、17インチと14インチのリム径の違いによる積載時の安定性を比較した結果、14インチのリム径を持つカブ110プロをベースとすることが最適であると判断している。

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キャンプなどを含みロングツーリングを楽しむ事を前提に積載力があり、積載時の安定感があればこそ速さより心地良さで走り続ける楽しさがあると考えている。

最後の日本製だった旧カブ110プロをバイク屋として皆の声を聴きながら、エンジン調整やファイナルレシオ等をテストツーリングでセットアップした仕様をベースに、Newカブ110プロを小型ツアラーに仕立てたNWJCコンプリートは、何ら問題も無く前回同様に楽しいツーリングをいつものメンバーと共に楽しむことが出来た。

カブ110プロNWJCコンプリートの評価は参加メンバーのブログをご覧ください。
→カブ110プロで2泊3日のキャンプツーリング

ノースウイングJC(NWJC)独自のツアラー観

パニアケースにトップケースを装備して積載力があり、大排気量を頼りに、防風効果を活かすことの出来る大型のスクリーンやフェアリングが装備され、移動距離や時間をハイスピードで快適に稼ぎ出すことが出来る車両を一般的にツアラーと称しているようだが、日本の一般道を心地よく楽しむには、心地よいと思える速度域が高すぎて一般の流れに乗るとストレスを感じる事もあり、車格的に日本人の体格には少し無理があるように思えるバイクもあるように思う。

速さより心地良さで走り続ける楽しさを味わえるツアラーは、車格やスペックに関わらず、自分流のバイク観を持つことが大切で、気負いや衒いを捨てバイクを満喫する事を目的に選ばれたバイクであれば、じっくりと付き合うことにより素晴らしいツアラーとなり価値ある道具となる。

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一昔前の250クラスでのロングツーリングは頑張ってエンジンを回して走れば・・・だったが、最新のCBR250Rで北は北海道、南は九州までツーリングを楽しんでみたが、近頃の250クラスは気負わずロングツーリングを心地よく楽しむ事ができて、積載性を高めれば立派なツアラーとなる事をライダーとして実感している。

亦、バイク屋がライダーの目線とメカニックの感性で排気量や車格に関係なく、心地良く楽しめるようベストコンディションに仕上げる努力をする事は云うまでも無い。

→CBR250Rで長距離ツーリングを楽しむ 九州編

→CBR250Rの潜在能力を遠乗りで試す 北海道編

カブの場合、厳冬期以外はスクリーンによる防風効果を必要とするような速度域で走ることも無いし、積載力と安定感が絶妙にバランスしているカブ110NWJCコンプリートは、速さより心地良さで走り続ける楽しさがあり、ビッグバイクでは味わえない楽しさもある素敵なツアラーであることを今回のメンバー全員が認めている。

積載力を重視しないのであれば、市街地のチョイ乗りからツーリングまで17インチのカブ110やウエーブ125iか、近々発売がウワサされているクロスカブも楽しいかもしれない。

同じ風景を眺める

能登への行きか帰りの道すがら必ず立ち寄るポイントがある。立山を眺めるのは氷見あたりの民宿で露天風呂に浸かりながら眺めるのも一興だが、バイクで訪れることの出来る期間は意外と短い。

春の訪れは散居村の水田をながめ、夏の終わりか秋の終わりは雪のない立山連峰をながめ、雪を被った立山をながめて冬の訪れを知る。

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春の訪れは、BMW R100RTにタンデムで五箇山あたりから福光経由で田園風景を眺めながら能登へ向かうのが恒例となっているが、今年はカブ110でフラフラと心地よく走りながら散居村を見渡せるポイントを目指した。

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今年は、カブ110NWJCコンプリート4台で能登ツーリングとなったため、水田で働くトラクターをのんびりと眺めることが出来なかったのが少し残念。

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二日目は他のグループと合流

二日目のキャンプ地を目指して能登から福井県大野へ向かった。

大野は、スノーモービルを楽しむ為に友人が経営するShopへ出掛ける事もあったが、もう何年もスノーモービルには乗っていないし、モービルも置きっぱなしで動くのかナ~?

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二日目の夜はとても寒かったが、motoさん主催の本栖湖の寒いキャンプ以来シュラフカバーも持参していたので快眠できたが、キャンプツーリングに初参加のNC700Xに乗るS君は若さなのか軽装備で、メンバーのNさんが心配してシュラフカバーを貸与していた。翌朝S君はシュラフカバーの威力と装備の大切さを知る事となった。

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昔はS君よりはるかに低いレベルの装備でキャンプツーリングに出掛けていたことや、レインウエアーも濡れるまでの時間稼ぎが出来る程度のもので、ウインターウエアーなんてものも無く、厚着+新聞紙が防寒の基本だったことを懐かしく思い出していた。バイクも装備も最新の物は総てに於いて高性能、高機能で至れり尽くせりだが、その分だけライダーが退化したのでは・・・と思うところもある。

帰りの峠道では、荷物を満載したカブ110プロの軽快な走りにS君は感心していたが、車格や排気量などスペックだけではバイクライフを楽しむ事が出来ない事を感じたようだ。

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若いライダーは経験豊富なベテランやオッサンライダーと共にバイクを楽しむ事により、永く楽しめるバイクライフを見つけてほしいと思う。

長年ビッグバイクを楽しんできた熟練ライダー達が、よく口にする「カブに始まりカブに終る」という言葉だが、長年バイクライフを楽しんできたライダー達は、この言葉が色々な意味でよく分ると思う。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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