バイク屋の備忘録

トライアンフ ストリートトリプルR ツーリング仕様で今季初の能登へ

エンジンコンディションは総てに最優先する。

6速でも2,000rpm以上は、まるでオートマチックのように滑らかで、全域に亘ってアクセルワークのみで扱えるトルクフルなエンジンもストリートトリプルRの魅力だが、低速域で半クラッチを必要とするエンジンは決して良いコンディションとは言えない。

半クラッチはエンジンコンディションの悪さを誤魔化す一つの手段に過ぎない。

半クラッチはアクセルワークが巧く出来たうえでの「高度なテクニック」であると考えるが、アクセルワークのまずさやエンジンコンディションの悪さを誤魔化す「間違ったテクニック」として使われているように思う。

エンジンコンディションが整っていないストリートトリプルやデイトナ675は、タイトコーナーなどでツキの悪さをエンジン特性と思い込んだり、675ccの排気量のせいでトルクが細いとか、ある程度ピーキーなのがレーシーなどと信じて「間違ったライテク」として半クラッチを使うことは、トリプル・エンジンの面白さや魅力が色あせてしまう。

エンジンコンディションの悪さはサスの性能も引き出すことが出来ないのでタイヤはどんな高性能タイヤを履いても本来の面白みは発揮できない。

ストリートトリプルR ツーリング仕様

ノースウイングJCでは軽量コンパクトな車体にアップライトなハンドルポジションに加えてしなやかな足回りは「ストリートファイター」という売り言葉より一般公道でスポーツライクな一面を以て「ツーリング」を楽しむには最適な一台だと考えている。

ストリートトリプルRは、丸目トリプルから始まり角目トリプルは2代目となりスタッフの明君が、ライダーの目線でツーリングを楽しみながら、気になるところはメカニックの感性で、ツーリング仕様として時間を掛けて熟成している。

ユーザー感覚で、ツーリング仕様としての出来具合や問題点(あら捜し)をしながらツーリングを楽しんでいるが、角目のトリプルでは初の能登を久々に一走りしてきた。


久々の能登へ

今年は、春の訪れが遅く、能登方面へ行きたいと思ったが、塩カルによるサビや腐食はバイクの大敵であるので中々足が向かなかったが、雨も降り気温も高くなり始めて少し春めいてきたのでトリプルRの出来具合も知りたくて試乗も兼ねて午後から能登へブラリツーリングへと出かけた。

午後から各務原ICより東海北陸道で走り始めたが、白川郷のPAではまだ多くの雪が残っていた。

白川郷PA.jpg

羽咋まで走り千里浜を経由して、能登一ノ宮の気多大社へ参拝した後、記紀にも見える、ヌナキイリヒメ関連について中能登町界隈で僅かに遺跡や神社を訪ねることが出来たが、続きは次回の楽しみに残すこととした。

冠塚.jpg

崇神天皇の皇子の大入杵命が妹の渟名城入姫ともに当地にきて、国土を開発、この地で没したので霊を当社に祀り、遺骸を小田中村の親王塚に埋葬した。塚への道筋に当たる冠塚、太刀塚は祭神に由来するといわれる。

明るいうちにR471→県道42→福光→城端の田園風景を見る予定だったが、日も暮れ始めたので田園風景は諦めて県道を走り福光から高速に乗り帰路に就いた。

角目ストリートトリプルRは上々の出来栄え

R471から県道42号を流しながらストリートトリプルRのエンジンは、各ギア共に一気に吹き上がるレスポンスの良さと、しなやかによく動く足回り、シフトを繰り返すことが楽しくなるクロスしたミッションなど、走りについ夢中になりドンドンとエスカレートしそうになるほどだった。

ベストコンディションに仕上げたストリートトリプルRは軽快感と安定感が程良くバランスして、のんびりからアグレッシブな走りまで一般公道で楽しめる総てを満たしていて、魅力的というか魅惑的というか素敵なバイクだと思う。亦アップライトなポジションはツーリングにも最適だと改めて実感した。

ツーリング志向には万能な高性能タイヤを

ツーリング仕様として換装したタイヤはメッラーZ6を選んだが、一般道を心地よく楽しむにはとても良い選択だと思う。デイトナやトリプルR等で転倒したライダーたちの声は、走り初めとか急に路面温度が下がった場合や休憩後のタイヤが冷えた場合に多く、ハイグリップタイヤのある部分に特化した高性能でシビアな一面が顕著に出ていると云える。

千里浜.jpg

その点ツーリング志向のタイヤの場合、あらゆる条件下で性能が安定しているメリットがあるし、かなりハイペースの走りでも何ら不満や不安を感じることは無いので、ツーリング志向のライダーにはお勧めである。

万能な高性能と単能な高性能

ストリートトリプルの弱点であるパッキングを対策

ツーリング仕様としての使い勝手で、ストリートトリプルRの小さなリアシートはパッキングが苦手な一面だが、昨年北海道をCBR250で走った後にパッキングについて検討して、ストリートトリプルRも同時進行でツーリングキャリアなるものを企画、制作した。

バッグ装着.jpg

丸目ストリートトリプルRは、振り分けバックを使ってみたがスリムさにも欠けて、小さなシートへの積載には問題点もあったがこれらも解決できた。これによりツーリングでのパッキング問題は解消できて更に心地よく楽しめる仕様となってきた。

キャンプ.jpg

帰り道は、日も暮れて東海北陸道の荘川IC付近では温度計が4℃を表示していた。寒さに対してグリップヒーターはとても有効で3シーズンのグローブで問題も無く、僅かな区間のみ温度が下がっていたのでウインターグローブに変えることなく走れた。

グローブより外気温度が3度から17度と大きく変化する中を走り、サスの硬さが変化するのを体感しながら半日ちょっとのショートツーリングだったが、ストリートトリプルRの出来栄えは中々で心地好い時間を過ごせた。

手前味噌だが、心地好くフィールドを拡げて楽しめるストリートトリプルRについてツーリングレポートかメンテナンスレポートが近々に「明のバイクライフ」でアップされると思う。

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