メンバーコラム

バイクは健康療具

1970-01-01

バイクに乗ると世界が変わる

新鮮な体験として

初めてバイクに乗ったのは中古のリードRという原付でしたが、すごく新鮮な体験であり、世界の見え方が変わったのを覚えています。体力に自信のない状態で、自転車で遠出をすることなんて出来ません。しかしリードRは、ガソリンとオイルで自転車では行くことが出来なかった所まで、私を連れて行ってくれました。

次に中型免許を取得してBROS400に乗ったときには、さらに新鮮な体験が待っていました。バイクで自分を演出して、今で言う「チョイ悪」な感じを味わいました。いつもと違う自分になり、何とも言えない爽快な気分を味わいました。雑誌で見たフォームを真似、ステッカーを貼り、時に無謀で車に迷惑をかけるような走り方もしました。今思えば愚かなことですが、当時はそれがとても楽しかったのを覚えています。

演出をするということ

バイクに乗ると、いつもの自分とは違う自分になれる。こう書くと、確かにそうだな、それがバイクの良さだ、と感じるかもしれません。しかしよく考えてみるとどうでしょう。バイクに乗っている自分は、バイクを使って自分を演出しているだけではないでしょうか。いつもと違う自分というのは、自分の中の新たな一面ではなく、全く別人になっていませんか。

以前、私は仮面ライダーのコスプレでサイクロン号もどきに走っているバイクを雑誌で見て、「こいつは、イッちゃってるな。」と思いました。バイクで自分を演出していた私は、客観的に見ると、程度の差はあれ、似たようなことをやっていたわけです。より現実に近い対象のものまねをしていたのです。

日常と現実

バイクに乗って旅をすると、日常生活を離れた自分だけの世界を味わうことが出来ます。この場合は日常から非日常へという変化です。その上演出してバイクに乗るということは、日常から非現実への変化です。自分とは違う自分への変身による爽快感を味わうわけです。この体験からは自分の中の新しい自分は発見できず、明日からの自分の日常生活に良い変化をもたらすことは出来ません。

人間がむき出しで操る乗り物であるという点で、バイクは現実の世界で五官を刺激し感覚を磨くことの出来る、素晴らしい乗り物だと思います。しかし、非現実の世界をイメージしてバイクに乗ると五官は刺激されず、得るものも少なくなってしまいます。

バイクに乗ると世界が変わりますが、それによって得るものは、乗り方に乗って変わってしまうのです。

村田 潤哉
緑峰会養南病院勤務 精神科医 
愛車:Dream 125 ,Scrambler ,R 100 RS ,GASGAS Pampera
NWJCから:学生時代には、ホンダBROS400でツーリング、ホンダXLR250・XR250で林道やエンデューロレースへの参加経験もある。社会人になってから初の大型BMWR1100GSを駆って日本各地を走る。バイクで健康管理をする精神科医。

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